かれこれ8年ほど、Apple純正の「Apple Wireless Keyboard」を愛用しています。Magic Keyboardではない、電池式のものです。
慣れきっているキーボードなので、かなり高速にタイピングでき、まさに仕事道具。サイズもコンパクトで、机を広く使うことができます。
目次
Apple Wireless Keyboardの乗り換え問題
しかしながら、既に廃盤になって久しいもので、何かあった場合にストックしておこうと思ってメルカリを覗いてみても、あまり状態が良くないものがほとんど。
いつ壊れてもおかしくないほどハードに使っていますので、Wireless Keyboardをサブとしてストックしておき、メインはいっそのこと新しいキーボードに乗り換えたほうがいいよな、とずっと考えています。
現行品のMagicKeyboardはやはりキーの浅さが気になってしまい、なかなかこちらをメインにすることはできない。
そんなこともあり、昨年から今年の夏にかけて、HHKB Professional JP墨モデルを使用していました。
打ち心地はさすがという感じでしたが、コーディングの際にミスタイプが多くなってしまう点と、そこそこ大きく響くかちゃかちゃ音に嫌気がさし、知人に譲ってしまいました。
以前も検討したRealforceのMacバージョンを購入することを当初は考えていたのですが、少しサイズが大きい印象を受けました。私はよくノートや紙を広げながら仕事をしますので、それを置くスペースはマストなのです。
こうなると、やはりコンパクトで打ち心地も良いHHKBに候補が絞られます。しかし先述したように以前1年間ほど使用していたHHKBの悪い点が脳裏をよぎり、なかなかどうしたものかと沼にハマり、結局Wireless Keyboardをメインに戻して使っている状態でした。
そんなある日。このブログの昔の記事を整理していると、HHKBの記事内で2020年春にリニューアルした記述を見つけ、「そうだった」と思い出します。HYBRIDというモデルが発売され、USB-Cでの有線接続のほか、Bluetoothの無線接続も行うことができます。デバイスは3台まで記憶させておくことができ、iMacのほかにもiPadと併用することが可能。Type-Sの打ち心地もアップデートされているようです。
これは買ってみるしかないのではないかと思い、買ってみました。
HHKB Professional HYBRID Type-Sを購入
以前墨モデルを使用した際に、コーディングでミスタイプが増えたのは、記号を打つ際に見えにくいキーを凝視するからではないかと考え、またカーソルキーがあった方が絶対に使いやすいので、日本語配列の白モデルを購入しました。
Apple Wireless Keyboardとの比較
AppleWireless Keyboardと比べると、横、縦のサイズはほとんど同じことがわかります。
ただ、高さが本当に違います。AppleWireless Keyboardの一番高い部分がHHKBの一番低い部分と同じくらいです。手首を机に置きながらキーを打つスタイルなので、これはかなり違和感を覚えます。
デザインは少し野暮ったいが、すばらしい道具感
HHKB Professional HYBRIDは充電式ではないため乾電池のスペースが取られています。実際に使用している際はこの部分は全く見えませんので、特に気になりはなりません。充電式はリチウムイオンバッテリーの寿命がありますが、乾電池式にするとバッテリーの寿命は関係がなくなります。バッテリーの寿命よりもキーボードの寿命が長く設計されているため、長い間キーボードを愛用することができるというわけです。おまけにバッテリーの重さも軽減できる。
白モデルなのですが、少しグレーががった色味をしています。事務用品といった趣で、余計なデザインをしていない部分はかなり評価できるデザインですが、個人的にはもう少しはっきりとした色味が好みです。
macOS対応のソフトでキーマップの変更は簡単
Macで使用するので、裏面のDIPスイッチを入れ替えMacモードをオンにすることを忘れずに行います。
macOS対応のキーマッピングツールが提供されています。USB-CでMacと接続の上、公式サイトからダウンロードし、起動。ここで、各キーの機能を入れ替え、設定することができます。参考までに私のセッティングは以下の通りです。
・CapsLock無効、代わりにコマンドキーに
(コマンドキーが二つになりますが、ミスタイプした時にもきちんと効くようにバックアップの意味)
・Optionキー、コマンドキーの入れ替え
(Apple純正のキーボードの配置に、物理的にもキーを外して入れ替えています)
まずはこのセッティングで、しばらく使ってみることにしました。HHKBはかなり独特な配列になっているという意見を聞きますが、Apple純正のキーボードに慣れていらっしゃる方はそこまで違和感なく乗り換えができると思います。
HHKB標準とType-Sモデルは別物
驚いたのは、かなりType-Sは打ち心地が違うということ。HHKB Professional JPは打ち心地は良いものの、「ガチャガチャガチャ」という音がかなりしていたのですが、Type-Sはかちゃかちゃという品の良い音がします。
また、キーを押した際の反応が全く違います。少し跳ね返ってくるというか、奥底で硬いゴムが反発しているかのような感触のおかげで、タイピング速度は明らかに早くなりました。これはとてもクセになります。
ワイヤレスモデルの取り回しの良さ
さほど有線式と変わりないかなと思っていましたが、予想以上にデスクの上をすっきりと使うことができます。そしてFnキー・Ctrlキーと数字の1、2、3を打つことで登録してあるデバイスごとに接続を切り替えることができます。普段は仕事場のデスクで使い、また気分を変えてコタツの上でiPadのメモに文章を羅列したり、メールの返信をしたり、そう言った使い方ができる。想像以上に便利でした。
やる気になるキーボード
良い面なのか悪い面なのか、かなり「仕事をした気になる」キーボードだと思います。このキーで黙々と文章を打っていると、買い物のメモでも「ああ、なんか仕事をしている」という気分になるのです。逆に、このキーで何かをしていないと「お前今日仕事全然してないじゃないか」と言われている気分になります。仕事をしたくなるキーボードというレビューをよく見かけるのですが、とても共感できます。このキーを打っていないと、本当に仕事をしている気にならないのです。
チャタリングが時折起こる
ごく稀な頻度ではありますが、キーを一回しか打っていないのにもかかわらず、何回も押された状態になるチャタリングが起きます。Bluetoothの接続の問題だと思いますが、Wireless Keyboardでは一回も起きたことがないため、不満と言えば不満です。
アームレスト必須
先述したように、キーボード自体の高さがかなりあります。これまで手首をつけにつけた状態でキーを打っていたので、手首を上に上げてキーを打たないと引っかかることになり、疲れを感じます。しっかりと長文を打つ際には、パームレストが必須です。
私はFLICOのパームレストSサイズを購入しました。北海道産の天然木を使用したもので、さらっとした触り心地です。裏面に付属の滑り止めを貼り付け使用するとびくともしません。
使用するまでは、木のささくれなどが気になるのではないかと思っていたのですが、全くそんなことはありません。実はこれ以外にも布製のもちもちとしたパームレストも購入して使ったのですが、左右に手首を自由に動かすことができず、使い心地はあまり良くありませんでした。純正のパームレスト木製のため、おそらく木の相性が一番合うのではないでしょうか。
HHKB吸振マットでもっと使い心地がよくなった
使用して1週間ほど、Type-Sの性能にかなり満足していました。新雪を踏んでいるときのような音、感触と言いますか、静かな部屋でタイピングしていると「スコスコスコ…」という音だけが響き、まるでASMRです。
しかしながら、これまでは気になったことがない机に反射するような音が気になってしまうように…。これはいかんということで、純正のHHKB吸振マットを導入しました。
早速貼り付けると、DIPスイッチやシリアル番号の部分が丁寧に切り抜かれています。まさしく純正という感じ。
机に密着し、安定感はものすごく高まります。机に響く音もなくなり、より一層静かになり、キーの「コスコス…かちゃかちゃ…」という音だけに。
打ちやすさも向上し、Type-SはパームレストとHHKB吸振マット併用でその真価を発揮する印象です。
30分で入る省電力モードがいい仕事をしている
30分ほど操作をしていないと、電源が切れる仕様です(設定で変更可能)。Macのスリープ解除は、これまでWireless Keyboardの適当なキーを打ってスリープ解除をしていたのですが、HHKBは電源そのものが切れているため、それができない。右上にある電源ボタンを1秒ほど押して、その後キーを押すことでスリープを解除しています。
最初は手間に感じていたのですが、自分のやる気スイッチに連動しているようで、1秒スイッチを押すことで仕事モードに切り替えることができて、全く手間には感じなくなりました。
Type-SこそHHKBである
使って1ヶ月になりますが、昨年使っていたHHKB Professional JP墨モデルで抱いていた「意外と大きいと感じた音」「コーディング中のミスタッチ(これは色の選択を間違えた自分のせい)」「コードが邪魔をし気軽に移動できない」といった懸念点が全て払拭されている感じです。
HHKBの打ちやすさや押した感触は大絶賛されていますが、Professional JPでは確かにその良さは感じたものの、「そこまでかな?」という印象を抱いていました。しかしながらType-Sのキータッチは大絶賛される理由が分かります。この打ち心地、音は他のキーボードではなかなか味わうことができません。慣れてくるとどんどんキータイピングの速度も上がってくることが体感できます。
今HHKBやキーボードの購入を検討されている方、個人的にType-Sモデルを大変にお勧めします。非Type-SとType-Sではにて非なるもの。高いだけの価値はあります。