ハイソラ

MacユーザーがHHKBを1年間利用したレビュー

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キーボードの世界は奥が深く、数百円のものから数万円のものまであります。
まさしくピンキリ。
一年ほど前、MacBook Proをスタンドで使用し、デュアルディスプレイ環境で使用するために外付けのキーボードを探していました。

  • とにかく打ちやすさ優先
  • Macでも違和感がないデザイン
  • かな表記なし
  • テンキーなし(コンパクト)

この条件に合致するキーボードを探していたのですが、なかなかしっくりくるものがない。
色々とネットで情報を漁ったり、実際に秋葉原に行って片っ端からパチパチためしたのですが、どこかしらに違和感を覚えるのです。
「お!これはいい!」と思っても、Windowsキーがあったり、横に妙に長かったり…。
そこで思い切って数万円する高級キーボードを買ってみることにしました。

キーボードのシステムにはいくつかの種類があって、「メカニカル式(接点接触と静電容量無接点)」「バタフライ式」「メンブレン式」などがあります。
接点接触型は軸の色によって打ち心地が変化し、なかなか奥が深い世界です。
詳しくはこちらのWikipediaをご覧ください。

中でも、静電容量型はその独特のキータッチが病みつきになると言われています。
また耐久性にも優れているため、銀行のATMの数字を打つキーパッドが静電容量式だったりします。
確かにあのキータッチは独特な打ち心地でクセになります。

HHKBとREALFORCE
HHKBとREALFORCE(いずれも公式サイトから引用)

有名なのは東プレの「REALFORCE」とPFUの「HHKB」ですよね。
ちなみにPFUはスキャナーで有名ですが、東プレは冷蔵トラックで有名だったりします。
この中でもっともコンパクトなモデルである「HHKB Professional JP」の墨モデルを購入しました。
なお2020年になってHHKBのリニューアルが行われ、このモデルは販売を終了しています。
しかしながら2019年の年末にREALFORCEのMac版が出たり、HHKBのリニューアルが魅力的な内容で選択肢は当初よりも広がっています(少し悔しい)。

Happy Hacking Keyboard Professional JPのパッケージ
Happy Hacking Keyboard Professional JPのパッケージ
Happy Hacking Keyboard Professional JPのパッケージ
Happy Hacking Keyboard Professional JPのパッケージ
Happy Hacking Keyboard Professional JPの墨モデル
Happy Hacking Keyboard Professional JPの墨モデル

真っ黒のキーにうっすら文字が印刷されています。
配置は日本語配列です。
しかしながらコンパクトにするために、矢印キーのとこにShiftキーが紛れ込んでいたり、Fnキーと同時押しでキーを使用するなど配置に一癖あります。

Happy Hacking Keyboard Professional JP墨モデル

USBの有線接続タイプなので、スマートフォンやタブレットなどに適宜切り替えて使うということはできません。

Happy Hacking Keyboard Professional JP墨モデル

このモデルを1年間使用して、色々と考えたことをまとめます。
まずはいいところから。

HHKBの気に入った点

打ち心地最高

打ち心地に関しては本当に最高です。
スコスコと文字が入っていく感覚は、確かに独特な打ち心地です。
きちんと文字を打っているんだ、文章を書いているんだ、一文字一文字買いているんだぞ、という気持ちに直結します。
この打ち心地のおかげで、文字を打つことが楽しくなった。
メールやブログ、各書類を打つのに苦労しなくなりました。

デザインがシック

真っ黒なモデルなので、見た目がかなりクールです。
コンパクトなので場所をとりませんし、黒キーに黒いアルファベット表記だけの見た目なので、かなりすっきりした見た目をしています。
アイボリーにグレーの印刷はあまりにも業務用感が出てしまいますが、黒のキーボードは業務用ではなく「プロフェッショナル」な印象さえ受けます。

黒いキーに黒い文字は意外と見える

環境にもよると思いますが、デスクライトをつけて手元を明るくしていれば、黒キーに黒い文字で印刷されていても、意外と慣れます。
「あれ…バックスラッシュはどこだっけ…」という時でもきちんと見えますし、そもそもタッチタイピングがある程度できる人であれば、キーを見る回数はそこまで多くないでしょうし、2週間ほどで全く違和感なく打てるようになります。

ここからは少し気になるポイントを挙げてみます。

HHKBの気に入らなかった点

音がうるさい

HHKBにはType Sという静音モデルも用意されています。
私が使っているモデルは静音タイプではなく普通のHHKBなので、かなり音がうるさいです。
購入当初、数ヶ月間ほどは「コスコスコス…」というかなり高級感を感じさせる音だったのですが、1年たった今は「ガチャガチャガチャガチャ」という品がない音になっています。
キーを打った後の反響音というか、少しだけキーに触れても「かちゃかちゃ」と音がなりますので、おそらくいろいろな音が響いてしまっている様子です。
これには深夜の作業もなかなかままならず、少し参ってしまいました。

コーディングに向かない

これは私だけだと思いますが、日本語の文章ではないコーディングを打つ際になぜかタイプが遅くなります。
英語の文章で打つ際はそこまで遅くならないので、おそらく、記号を多用するせい。
コーディングも仕事の割合としては多い方なので、なかなか厳しいものがあります。
1年間経過してようやく早くなってきましたが、まだミスタイプがあったりと、なかなか大変です。

汚れが目立つ

これは覚悟をしていましたが、かなり汚れが目立ちます。
白色は黄ばんでくるという話さを耳にしていましたので、「それはいやだな」と墨モデルにしたのですが、これはこれで白色の汚れが目だちます。
目立つというよりも、キーとキーの間に白い埃や指の皮膚が入り込んだりして、かなり鬱陶しいです。
パソコンの前で食べものを食べたりしないですし、できるだけきれいにして使っているつもりなのですが、それでも汚れます。
きれい好きな方なので、これはかなりネックなポイントになっています。
これまで2回ほどキーを全て外し、綿棒で拭き、元通りに直す作業をしています。
MacBook ProのキーボードやMagic Keyboardはそのような手間がなかった(拭くだけでよかった)ので、手間がかかります。

タイプ速度が早くなるわけでもミスタイプが減るわけでもない(個人差あり)

購入当初、かなりミスタイプが目立ち、またタイプ速度もそこまで早くなかったため、「慣れれば早くなるだろうな」と考えていました。
1年間毎日のように使っていましたが、さすがにミスタイプは減り、タイプ速度は速くなりましたが、自分で想像していたよりかは早くなっていません。
私の練習不足な部分も多いと思いますが、おそらくキーの重さに関係があります。
これまで使ってきたMagicKeyboard、歴代のMacBook Proのキーボードはかなり打ち心地が軽く、パチパチ…と打っていく感覚があります。
しかしながらHHKBの場合、軽く打てるとはいえ、キー自体に重さがしっかりとあるため、滑るようにして打つことはなかなかできません。

現在買い替え検討中

色々と検討した結果、もう少しだけHHKBを使いつつ、しっくりくるキーボードを少し探そうと思っています。
打ち心地はいいのですが、思った以上になかなか慣れず、タイピング速度が上がらないのが原因です。

キーボードは高ければいいというわけではないのだということを学びました。
高ければ高いほど高い技術力を使って製品が出来上がっているわけですが、それが私の癖や打ち方に合致しているかどうかはまた別の話。
またいくら実際に店頭で試してみても、せいぜい数十分。
そこで感激するほどのキーボードに出会えれれば話は別ですが、「いずれ慣れるだろう」という予測は結構危険かもしれません。
「HHKBは人を選ぶキーボードではないか」と個人的には思います。
ハマる人は本当に最高なキーボードです。