ハイソラ

ベンチャー企業はデザイナーを大切にするべき

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ベンチャー企業のミーティング(イメージ)

これまで、デザイナーとして数十社のベンチャー、スタートアップ企業に関わってきました。
そのうち、数社はいい感じで売上も伸び、関わってきたロゴやデザインが各所で使われている様子を見ると、とても嬉しくなります。

しかしながら、ほとんどの会社は、立ち上げの段階からうまくいかなかったり、解散してしまったり、失敗してしまいます。
関与した私の力不足でもありますが、デザイナーという立場で、「中でも外でもない、半分外部の視点」から見ていると、失敗するベンチャー、スタートアップは共通のポイントがあることがわかります。
それは「会社ごっこ」に終始してしまう、ということです。

「会社ごっこ」とは

ここでいう会社ごっこを、箇条書きにしてまとめました。

会社ごっこに終始してしまうベンチャー、スタートアップ企業の特徴

  • 売上がまだないのに、登記を急ぐ
  • 売上がまだないのに、オフィスの準備を急ぐ
  • 売上がまだないのに、採用をしたがる
  • 売上がまだないのに、人数だけ増えていき、何をしているかわからない人が出現する
  • 社内政治をすでに始める人がいる
  • サービスやプロダクトを議論して議論してなかなかリリースしない
  • 肩書きにこだわる
  • 現実味のないビジョンを掲げてしまう
  • それなのに当初のビジョンを忘れてしまう
  • 決裁の制度を導入したり、全てが複雑化する

それぞれの組織やメンバー、資金の集め方などによって少しずつ異なりますが、だいたいこの10点が挙げられます。
こうして書くと、「そんなん失敗して当たり前じゃん」と思われそうですが、ハマってしまうグループ、組織は不思議と多いです。

自分自身を勇気づけるために会社ごっこに走ってしまう

ベンチャー企業によくある卓球台

会社も辞めて起業をするとなると、少しでもいいから、周囲を安心させたり、自分自身を勇気づけたくなる。
おそらく理由としては、「こんなに準備してるのだから大丈夫」と、自分自身に言い聞かせたくなるから。
なので、売上が上がる前の段階で、色々なことにこだわってしまうのでしょう。
私も独立した時に(法人ではないですが)、同じ不安を抱えていました。

しかしながら、やはり売上があるということは大切です。
それを意識するためにも、少しでも早くサービスやプロダクトをリリースし、少数でいいから実際のユーザーの意見を吸い上げるべきです。

ベンチャー、スタートアップはデザイナーを大切にするべき

常々、私は日本のベンチャー、スタートアップ企業は、デザイナーをもっと大切にするべきだと考えています。
理由としては2つあります。

ベンチャー・スタートアップはしっかりとしたロゴを準備するべき

起業の準備段階で、しっかりとしたロゴと名刺を作るべきです。
先述した「会社ごっこ」の話と矛盾するかもしれませんが、逆に言うと、ロゴと名刺だけでいいのです。

出資先にプレゼン(ピッチ)する際、アイディアをシンプルにわかりやすく伝えることはもちろんですが、簡単な資料を見せることも多くあります。
その際に、きちんと整ったフォーマットであったり、ロゴが載っているだけでも、印象はかなり良くなります。

出資交渉がうまくいった場合、出資先の企業がリリースを出すこともあります。
その際、リリースにみすぼらしいロゴで「この会社に出資します」というのは、出資側としてもカッコ悪い。
どうせ出資するなら、かっこいいところに出資したくなるのが人間というもの。

読者の方で、起業を考えている方は、「こんなくだらないこと、どうでもいい」と思われるかもしれません。
しかしながら、経験として、成功しているベンチャーやスタートアップでロゴやデザインをおろそかにしているところは、無いです。
努力と成功の話に似ていますね。
「努力が成功を呼ぶとは限らないが、成功している人は全員努力している」という話と同じです。

最初からある程度の予算をかけて(せめて10万円)、信頼できるデザイナーに依頼をしてください。
それも、できることなら、クラウドソーシング系のサービスを利用するのは避けてください。
想いも何もない、ただ単に形がある画像をロゴとして使わざるを得なくなります。

デザイナーは身近な第三者

ホワイトボードにアイデアを書く様子

デザイナーは仕事の性質上、その会社の外面を気にします。
組織にいるとしても、自分がいるこの会社は外からどう見えるだろう、と気にしながら、仕事をしています。
この性質は、上記のような「会社ごっこ」を予防するのに、とても役立ちます。

もし、今の状況があまり良く無い方向に向かっているようであれば、「今、自分たちはこういう状況にあると思う」ときちんと発言しましょう。
大きな会社であれば、なかなかこのようなことを発言するのはハードルが高いですが、ベンチャー、スタートアップのような小規模で創業間も無い会社であれば、さほどハードルは高く無いはずです。
モヤモヤしているのであれば、悔いなく、はっきりと伝えましょう。
仮にそれで仲が悪くなってしまったり、仲間割れしてしまう場合は、それまでの仲だった、ということです。

そして、デザイナーから意見を聞いたメンバーは、その意見を大切にするべきです。
投資家の意見や、アドバイザーの意見も大切ですが、「中にいるデザイナー」の意見は、現実をきちんと反映している批判です。
頭にくるような内容のときもあるかもしれませんが、ぐっと我慢をして、一度冷静になって考えてみてください。
身近な第三者として、冷静に判断を後押ししてくれるはず。