ハイソラ

大塚家具のロゴ変更から、ロゴ変更を再検討する

DESIGN

大塚家具の親子喧嘩騒動から、早4ヶ月。
新しいブランドビジョンが発表になりましたね。

IDC大塚家具の新しいロゴと古いロゴ
IDC大塚家具の新しいロゴと古いロゴ

ロゴが変わりました。
これまでの重厚なボールドのフォントから一点、細い線でスペース(空間)を表現したものに変更です。
配色はこれまで通り赤と黒のようですが、細い線だけあって、黒というよりもグレーのようになっています。

あまりも軽い感じがし過ぎていて、家具という生活の基盤となるものを扱うのには、少し頼りない印象も受けてしまいますが、「気軽に入れるお店」をキーコンセプトにしているので、これはこれでアリだと思います。
またああいう騒動があって社長が交代して、またロゴを元に戻すなんていうアホみたいなことはしないで欲しいです。
ロゴは長く使ってナンボ、飽きたから変えるというものでは決してないですから…。

「ロゴ見飽きたので、ロゴ変えて」

なぜ、このような事をブログで記したかといいますと、実は先日、あるクライアントから「ロゴを変えてほしい」という依頼を受けました。
2、3年前に新しく作ったばかりでしたので、「変えるのは少し早いのではないですか?」と尋ねたところ、「社長が飽きたと言っている」というお話でした。
その会社のロゴに関しては、チームを編成し、コンセプト設計の段階からクリエイティブ部門が頭をひねって、最終的にはステークホルダー全員が納得できるロゴが出来上がったと、自負しています。

しかし、3年経過して社長が見飽きてきた、と仰るのです。
それは見飽きたのではなく、見慣れた、環境になじんできたと言い換えることが出来ます。
チームで相談をし、結果としてロゴの変更は行わない方針になりましたが、今回が初めての経験ではありません。
「ロゴを見飽きたので変えたい」というご相談は、これまでも多く受けています。

ロゴは変えなければ変えないほど強くなる

個人的には、企業や団体のロゴは変えなければ変えないだけ強くなる、と考えています。
実際に会社が行っているサービスとロゴが人々の頭の中で融合し、サービスや製品を思い出すと自然とロゴや付随するデザイン、イメージも思い起こされるようになるには、戦略は勿論重要ですが、ある程度の時間を置く事が必要です。

しかしながら、(これはデザイナーのプレゼンテーションが必要不可欠なのですが)ロゴも広告の一つとして考えてしまっている会社が、意外にも多いのです。
これは本当に良くないことだと思います。

ロゴは広告といったキャンペーンではなく、会社の顔です。
その顔を頻繁に変えるわけにはいかないのです。
だからこそ、デザイナーは熟慮に熟慮を重ねて、時代の変化やメディアの変化に耐えうるロゴを作ろうと必死に頑張るのです。
ウェブサイトのリニューアルに併せて、ロゴを変更する事案も意外に多く観られますが、これも私は反対です。
ウェブサイトのデザインは、コンセプトやロゴ、ブランドイメージやビジョンに忠実にあるべきです。
今回の大塚家具の様に、かなりのマイナスイメージが付いてしまっていたり、会社がガラっと変わる事態を除いては、ロゴは変えてはいけません。