今年もあと残すところ5ヶ月ほどとなりました。
正直なところ、今年の上半期はパッとしない日々が続いたのですが、本については、じっくりとたくさん、読むことができました。
その中で、特に印象深かった本『エッセンシャル思考』をご紹介します。この本は、本当に色々な人に読んでいただきたい本だと思います。
目次
「人生において大切なことは1%、残り99%は無駄」
書籍では、全編にわたって「人生において大切なことは1%、残り99%は無駄」という考え方に基づいて、語られています。
生きていると色々な人がいて、色々なことが身にかかってくる。
しかしそのほとんどは、自分にとって大切な事ではないのです。
その大切なことは、気負わず、他の人にお任せしてしまうのが一番、だということです。
これだけ書くと、「自分勝手に生きろってことかよ」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
私も、そう考えていました。
ただよく考えてみると、確定できない曖昧な返事をしてしまうのは、結果として相手に迷惑をかけてしまう可能性が高いですよね。
「色々と犠牲にして無理にすれば出来るかもしれない」のを、「出来る」と言い換えて請け負ってしまう。
犠牲にされた方はもちろんのこと、犠牲にする自身も心が痛みますし、そのように無理にして請け負った案件は、品質も悪く、挙げ句の果てには納期に間に合わなかったり、完成しないままになってしまう可能性も高いです。
これでは、誰が幸せになるのでしょう…。
潔く、具体的な説明
この書籍の良いところは、説教臭くなく、きちんと具体的に「エッセンシャル思考の人」「エッセンシャル思考ではない人」と区別されていることです。
他のビジネス書籍や自己啓発系書籍では、あまり観られないほど、きっぱりと言い切っています。
そして、その区分け方は、とても納得でき気持ちがいい。
一部だけご紹介しましょう。
このような感じで、ところどころに分かりやすく、エッセンシャル思考の人とそうでない思考の人の行動パターンが明示されています。
この潔さと分かりやすさが、他の思考系書籍とは異なる部分だと思っています。
「断る」ことは怖くない
『エッセンシャル思考』では、99パーセントの無駄にNOを言うことが全編にわたって書かれています。
「断る」ことは怖いことです。
特に、私のようなフリーランスであったり、不安定になってしまう環境に身を置いている人は、「断ること=全てを失うこと」のように思えてしまいます。
「この仕事を断ったら、この先、このクライアントからは依頼がないかもしれない…」
「断ることで、今月の収入が限られてしまう…この先仕事が来るかどうかも分からないのに…」
こういった不安が、常に頭の中にある状態です。
しかしながら、独立して4年以上経ったいまは、断ることにそんなに恐れを抱かなくなってきました。
もちろん、「断る理由がない」時は、断る必要は全くないのですが、その「断る理由がない」というハードルは高くなりました。
今は、以下の5つを全て満たすことができると分かった場合、ご一緒することにしています。
- クライアントと二人三脚で取り組めるだけの時間的余裕
- ひとりや家族と過ごす時間を確保できる
- クライアントが求めていること、自分が出来ることに差がない
- クライアントがこの仕事を通じて、新しいステージに進むことが出来る、またその準備が出来ている(ブランディングデザインを導入した後のビジネスプランがしっかりとある)
- 自分が楽しめる環境で、将来誇れる仕事ができる環境
別に、これは仕事をセーブしようとしているわけではないのです。むしろ、この状態をキープしてからは、新しいご依頼を継続的に頂けるようになりました。
それは、取り組む仕事に対して、これまで以上に「自分が出来ることで、いかに相手に(クライアントに)喜んでもらえるか」ということに注力できたからだと、自分では考えています。
これは当たり前のことですが、忘れがちになってしまうことではないでしょうか?
「忙しいアピール」は権威の誇示にさえならない
なんでもかんでも、頼まれごとを引き受けてしまうと、「3時までにこの仕事を終わらせて、そしてあの頼まれた資料を半分までやったら、5時からの会議に出ないと…でもその前に家の用事があったんだ、でもこれは今日やらなくてもいいな、でも今日中にお願いって頼まれたっけ…」という状態になってしまいますよね。
そのような状態だと、いつまでたっても大事な事が分からない、本質もわからない、目先のことに囚われ過ぎて、自分や「本当に大切にしなければならないこと」を後回しにしてしまいます。
よく「忙しすぎて寝てない」「忙しすぎて遅れちゃってすみません」などと、忙しさを理由にして色々な事案について対応する人がいますが、そのような人は「何に対して、何を投資すべきなのか」が分かっていないのです。もったいない時間の使い方をしています。
また、忙しいことをアピールして、権威を自分自身で保証するような人がいますが、これも間違っています。そもそも他の人は「忙しさアピール=権威保証」ということを見破っている可能性が高いです。「忙しい=偉い」は通用しないのです。
苦労にも種類がある
このようなことを言うと、「若いうちはとにかく苦労した方が良いんだ」という反論をよく頂きます。
私も、この通りだと思います。しかしながら、苦労にも種類があります。
時間的な余裕を持てない苦労、体力的・精神的に厳しい苦労、自分にとって何もプラスにはならない苦労については、私は避けるべきだと考えています。
特に精神的に厳しい苦労は、何もいい結果を生まないと考えています。それよりも、知識を整理したり追加したり、スキルを整理したり追加したり、人の話を親身になって聞くようにしたり、そのように自分にも人にもプラスになるような事に時間を費やす事が、若いうちにすべき「苦労」なのではないかなと考えていますし、この『エッセンシャル思考』を読んで、その考えに自信を持てるようになりました。
『エッセンシャル思考』は、時間管理や小手先のテクニックではなく、生き方そのものをシンプルに、より本質に近づける、そのような本だと思います。