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フリーランスのデザイナーの目線で、色々なことを考えるブログ

『「個性」はこの世界に本当に必要なものなのか』を読みました

アスキー新書の『「個性」はこの世界に本当に必要なものなのか アスキー新書』を読みました。

個性という答えがない問いに、東大の最先端研究者10名がそれぞれの分野から、個性というものについて論じています。

個性は自分からは生まれない

個性は他人と比べないとわかりません。
これは当たり前のことですが、ほとんどの人が忘れてしまっているような気がします。
他の人と比べて、ああ、自分はこういう方向に動く(考える)んだなと、自分でわかった時、それが個性として認識できます。
ただ、それが仮に誤った認識だった場合も多々ありますよね。
自分ではこう思っていたけれど、第三者からすると全く違う風に思われていた、ということは多々あります。
「痛い人」は、他人から思われている個性と、自分で思っている個性があまりにもかけ離れたときに生じる感情なのではないかと、最近思います。

個性はにじみ出る

10名の研究者の中で、言語学のトム・ガリー先生がもっとも面白かった意見を論じてたと思います。
個性はどう頑張ってもにじみ出てしまうもの、という意見です。
普通に書こう、普通に話そうと頑張っても、出てきてしまう独特なものが、個性だと言うことです。
また、コミュニティが細分化し、そのコミュニティの中だけで通じる言葉が増えていると言います。
確かに、デザイナーはデザイナーでしか通じない言葉がありますし、鉄オタは鉄オタでしか通じない言葉がありますよね。
今後そういったことが加速する、と論じています。
そうなると、すべての人に通じる言葉を発することは難しくなってきます。
私も、デザインの専門的なことを、一般の人にわかりやすく伝えるような際は、結構気を使います。
それがより一層難しくなってくると、より一層、「わかりやすい伝え方」を考える必要が出てきて、それだけでも一つの技能として、職種が成り立つかもしれません。

個性を理解するには、共有を理解しなければならない

まとめの章では、「個性を理解するには、共通性や同一性を理解しなければならない」と書かれています。
ベースとなるある事柄があるからこそ、その中で個々の違いが出てきて、それが個性となる。
それを忘れてしまって、いきなり個性を考えたり、個性的な人を目指してしまっても、個性は発揮できません。
個性的なことを成し遂げたかったら、まずは共通項をしっかりと理解する必要がある。
それを忘れてはだめですね…。

個性を大切にする→個性を受容する

会社や学校など、「組織において個性を大切にする」という考えは、最近よく聞くようになってきました。
しかしながら、実情は決してそんなことはないのです。
個性を大切にする、ということは、個性を受容することです。
組織は効率を重視するものですし、そこに個性を持ち込んでしまうと、効率は悪くなり、コストもかかります。
私は、小学校の時にいじめに遭いました。
幼い頃から変わった遊びや趣味がありましたし、人とは何かしら違う考えをもっていたと、今では思います。
またクラスという集団の中で、明らかにおかしなことが重視されても、それを受け入れることは出来ませんでした。
結果として、無視され、ひとりぼっちにされ…ということがありました。
中学受験をして入った学校では、そういったことはいっさいなく、楽しむことができました。
それは周囲に個性的な人が多く、それが共通項となったのだと思います。
また、それゆえ個性を受け入れる文化、環境があったと思います。
大学でも、その文化をもった大学に入り、楽しんでいました。
しかし、新卒で入った会社は違いました。
大企業しかもメーカーという、効率がものをいう社会なのは当たり前です。
それをしっかりと考えず、入ってしまいました。
結果として、すぐにその会社はやめてしまい、今フリーランスとしてはたらいています。
効率重視の環境には身を置くことが出来ないと、そのとき初めてわかったのです。

個性を受容しないことは、柔軟性を失うことにつながる

この本でしきりに唱われていたのは、個性を失うことは、柔軟性を失うことだということです。
個々人がそれぞれ得意としていることを、しっかりと発揮できる環境は、柔軟にものごとを考えることができる、というわけです。
戦後の日本は、大きなことを短期間で行う必要がありました。
それには効率がいい、ということが、ものすごく大切です。
ただ、今はもうそのような時代ではありません。
個人も組織も、それぞれ得意とすることをしっかりと発揮して、社会に価値を提供することこそ、大切なのではないでしょうか。
そんなことを改めて感じさせられた本でした。

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